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東京脱出バナー

「……でも、東京を出ちゃったら色々と不便なんじゃないの?」
俺が移住について話した際、こんなことを言った男がいました。
「あなたの場合、『薔薇族』という媒体を作ってるんだからさ、東京にいないと困ることが多いと思うよ」
こういうふうに思い込んでいる人が非常に多いんですが、2010年代の今日、「かなりの的外れ」と言わざるをえません。

今世紀に入って、編集部を「東京以外の地」へと移す情報誌が増えています。
有名どころを挙げれば、2004年に『自遊人(じゆうじん)』が新潟県へ、2011年に『Spectator(スペクテイター)』が長野県へ、2015年に『マーマーマガジン(現・まぁまぁマガジン)』が岐阜県へと移転しました。

先駆けである『自遊人』が移転した当時にはまだ、さきほど俺が「的外れ」と呼んだような指摘が多かったといいます。
すなわち、「地方なんかに行ってしまっては全国誌クオリティの雑誌は作れなくなる」という否定的な見方です。

でも、雑誌作りに精通している人なら分かりますよね?
インターネット環境さえ整備されていれば、物理的な距離には関係なく、原稿だろうがイラストだろうが写真だろうが一瞬でやりとりできるのです。
だから、「書き手のクオリティ」さえ担保されていれば、編集部じたいはどこに置かれてたって問題ないわけですわ。

まさにこれこそが「インターネットのもたらした功(明)」の最たるものでありましょう。
わずかな稿料を稼ぐために、いちいち「数百円の電車賃」と「往復1時間以上もの時間」を費やしてクライアント事務所まで原稿を届けていた時代(平成初頭)を思い出すと、とても同じ国の話とは思えません。
いや、恨み節を言ってるんじゃなくてね、「あのメンドクササから解放されて良かったなぁ」と喜んでるんですよ。

こういう時代になってくれたからこそ、メディアの発行人であっても不安なく東京を離れられるわけです。
「罪(暗)」の部分も大きいインターネットですが、こういう利点を考えると、「人類史上、5本の指に入る大発明」と言わざるを得ない感じですね(後の4つが何かは各自でお考えください)。
というわけで、わが『薔薇族』も、この恩恵に浴させていただきたいと思います。

もちろん、全ての人が「よっしゃ! 物理的制約から解放されたんだから、東京を出よう」と思えるわけではないのは分かっています。
人間には、自己改革を邪魔する「惰性」という魔物が憑いているからです。

惰性とは、平たく言えば「これまで行ってきたことを、これからもダラダラ続けること」で、それはブラックホール級に強烈な引力を持っています。
人間は「惰性のぬるま湯」に身を浸しているのが一番ラクチンだから、その引力圏から脱するには並外れた精神力を要します。

じつは俺がこのブログを綴っているのも「惰性との決別に向けた荒療治」なのです。
「東京を出るぞ!」と決意はしたものの、やはり「50を過ぎて生活をリセットし、人生を再起動する」というのは想像を絶する難作業。
ぶっちゃけ、「やっぱ止めちゃおっかなぁ……」と弱気になることも時折あります。
だからこそ、「東京を出るのだ!」と不特定多数に向けて宣言し、その経緯をブログ化していくわけですよ。
公言することで「後に退けない状況へ自らを追い込む」という背水の陣を敷いているのであります。

それにしても、です。
「惰性との決別」というのは自分ひとりでも大変な作業なのに、スタッフを納得させ、編集部(会社)という「所帯」ごと移住するに至った前掲3誌はすげぇなぁ……と心から思います。
それでもなお「脱・東京」を果たしたのは、たぶん「移住先のほうが東京よりも豊かである」と感じたからでしょうね。

話はちょっと変わりますが、俺と同じく「好きで上京し、そのまま居続けている」人たち、特に「俺と同世代のアナタ」に言いたいことがあります。
もうそろそろ、長年の「東京信奉」から解放されませんか?

昭和期に俺たちが、まるで誘蛾灯に誘われる羽虫のごとく東京に群がったのは「そこでなければ手に入らないものが多かったから」です。
俺の場合のソレは言うまでもなく「本」で、「小出版社のマイナー本」というのは当時「都内の限られた店まで足を運ばないと手に入らないもの」でした。
だから高校時代には月イチペースで学校サボって上京し、渋谷や池袋とかのマニアックな店をあさっていたのです。

しかし現在は、例の「Amazon」を始めとするネット通販が充実し、状況は一変しました。
出版業界に関わる者としては言ってはいけないコトかもしれませんが、「Amazonの品揃えは実店舗より豊か」ですし、「実店舗より総じてリーズナブル」だったりします。
また、ネットショップとユーザーを結ぶ流通システムも、宅配業界各社の企業努力によって大きな進化を遂げ、驚くほど迅速に手元に届くようになりました(たまに早すぎてホントに驚くこともあります)。

自分の例として「本」について語りましたが、たとえ「好きなものがそれ以外」であっても状況は五十歩百歩かと思います。

たとえば、アナタの趣味が「映画鑑賞」だとしましょう。
昔は、わざわざレンタルソフト店まで足を運んだのにお目当てのタイトルが軒並み「貸し出し中」でイラッとさせられることも多々ありましたよね。
しかし現在では「ネットでオーダー、宅配便で到着」というスタイルが選べます。
ソフトのやりとりすら面倒な人なら、ネット回線経由の「動画見放題」という選択肢もあるのです。

このように現代日本は、インターネットと物流ネット(宅配便やゆうメールなど)という「二大ネット」さえ揃っていれば、「どこに住んでいても東京と大差ない生活が送れる国」になりました。

「もはや、人の多さや街の窮屈さを我慢しながら東京に居続ける意味はなくなった!」
「俺たちは、どこでも好きな場所で暮らしていけるようになった!!」
こう確信できたとき、新卒で入った会社を「ラッシュの電車に乗りたくない」という理由で2日で辞めるほどの「人混み嫌い」である俺は快哉を叫びました。

まぁ、俺ほど徹底した「混雑嫌悪症患者」は少ないでしょうが、しかし「人にぶつからずに歩くのが至難の業」みたいな状況にウンザリし、神経をピリピリさせてる人は結構いると思います。

人は誰しも「パーソナルスペース」と呼ばれる「心理的縄張り」を持っていて、その中にアカの他人(心を許していない相手)が侵入してくると、不快感や嫌悪感を感じるようにできています。
けれども人口密度が異常(なんせ日本人の1割強が集まってるわけですから)な東京の場合、各人がパーソナルスペースを確保することなんて物理的に不可能。
その結果、たかだか「肩がぶつかった」程度のことで傷害事件が起きたりするわけです。
満員電車ともなればパーソナルスペースもへったくれもなく、俺みたいな混雑嫌い野郎では逆立ちしたって「慣れる」なんて芸当はできません。

ここまで述べてきたことは「一個人としての俺の価値観」に過ぎませんから、誰でもが共感できるわけではないことは百も承知です。
いま現在でも「東京サイコー! 東京人にあらずんば人にあらず!!」と信じて疑わない人は数多くいるでしょうし、そういう方の場合は今後も東京住まいを続けるのが一番だと思います。
また、先ほど映画の話をしましたが、「映画は絶対に映画館で観なければ!」という方の場合は、たとえ東京を出るにしても「映画館のある道府県」からは離れないほうが無難でしょう。

でもまぁ、俺と比較的近い思考(嗜好)の人ならばインターネットのメリットを最大限に活かし、「東京脱出のカタパルト」にしてみてはいかが?
アナタの就いているのが「毎日決まった時間に出社しなくてもいい種類の仕事」ならば、脱・東京はよりスムースにできますよ。

421cv

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