TPPで不安なのは

居住地域や職種によって賛否が大きく分かれる「TPP(=環太平洋連携協定)」だが、それが世界の趨勢ならば抗うことは至難の業だろうと思う。ただ、個人的には不安の部分が大きい。日本人がもっと毅然とした態度を示し、自身の価値観で進路を定めていける状態であるならばまだいいのだが、「とりあえず安価ならばいい」「考えるのがメンドクサイ」といった“根なし草”状態では、心配になるのも道理だろう。

わかりやすく云えば、安全性が不確かな輸入食材だけで作った“100円牛丼”が売り出されたとしても、「いや、私は国内農業を支援したいので300円牛丼のほうを選びます」と云える人が一定数いれば、まだ安心できるのだ。しかし現実は「とりあえず安価ならばいい」「考えるのがメンドクサイ」といった風潮が老若男女を問わず蔓延している。といってもそれは、そう云う人たちばかりの責任では必ずしもなくて、「選択の自由なんて持てる余地のない経済状態」であるとか、「考えるという行為の楽しさを教えない社会環境」も大きく影響しているんだけど(僕自身、100円牛丼に飛びつかないと云いきる自信はない)。

TPP推進派は、たとえば農業に関しては「日本の農業は、今後は“世界マーケット”を視野に入れて事業展開をしていけばいい。そうすれば関税撤廃は農家の強い追い風となって、ジリ貧状態からの脱却につながるだろう。日本の農産物には“世界ブランド”となり得るポテンシャルがあるのだ!」といった論を展開するが、なるほど方向性としては間違っていないと思う。助成金とかではなく、農産物の正当な代価で成立して(潤って)いかなければ、農業に未来はないんだから。とはいえ、日本の農産物を世界ブランドとして押し出していくためには「原発被害」というネガティヴ要素を排する必要が絶対的にある。そこを徹底的にやっていかなければ、いかに美味しくても、日本産食品は海外セレブの口には入らないだろう。

たいした教養もない僕が、農業についてちょっと考えるだけでもこれだけの問題点が出てくるのである。相反する要素が混在するような状況で見切り発車的にTPPに参加して、良い結果が出るとは思えないンだけどなァ・・・。

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