「大きい」ことが良いことか?

雑誌『広告批評』の元・編集長でコラムニストの天野祐吉氏が亡くなって、TBSの『サンデーモーニング』では追悼コーナーを設けていた。その中で生前のコラムをいくつか紹介していたのだが、うち1本で「大きいことは良いことだ」というチョコレートのCMコピーを通じ、当時の「経済成長至上路線」にたいする懐疑的な想いを露わにしていた。

同じようなことを以前、ベテランコピーライター方が云っていたか書いていたかしていた。その方は「隣のクルマが小さく見えま~す」という自動車のCMコピーが非常に嫌いだったそうで、「どうして『自分の幸せ』を実感するのに、隣の誰かと比較する必要があるのか。『アイツよりもウチのほうがマシだ』というミミッチイ優越感を得ることでしか『幸せだ』と実感できないような貧しい精神性では話にならない」という意味あいのことを述べていた。天野氏もその方も広告と深く関係していた人だからこそ、後のバブル狂乱へとつながる日本の「安直なる大国志向」への危機感を、一般人より強く感じていたのだろうと思う。

生前の天野氏は震災後の「脱原発を求める動き」を「成長一辺倒だった状況から『降りる』ことを選択した人々」というように好意的に捉えていたようだ。僕もその部分では同じ思いなのだが、ちょっと気になるのは「脱原発派の人々がホントに『成長から降りることを望んでいる人々』なのだろうか?」ということだ。「原発ハンタイ! でも『暮しの利便性』だけはこれまで通りに享受させろ!」なんていうのではお話にならないし、そんな甘い了見ではじきに原発推進派にからめとられてしまうだろう。

天野氏はいなくなってしまったが、泉下の天野氏が期待していたような日本は果たして来るのだろうか? そして僕でも合流できるような反原発運動が日本にも誕生するんだろうか? ・・・サテどうなりますことやら。

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