昭和は遠くなりにけり・・・ではなくて

僕が上京して最初に住んだアパートは、1983年の時点ですでに「古いなァ・・・いったい築何年なんだろう?」という印象を受けるものだった。中に入ると大きな下駄箱つきの共同玄関があって、そこで靴を脱いでギシギシと軋んだ音をたてる階段を上がっていく。すると共同のピンク電話があって、その奥に4畳半の居室(半畳ほどのミニキッチン付き)が左右に5部屋ずつ並んでいる・・・そんな間取りである。質素と云えば質素だが、当時の学生アパートなんてのはどこも大体こんな感じだったのだ。

それから30年余りが過ぎた。最初に住んだ街には今でも月に1~2回は足を運んでいるので、懐かしのアパート跡を時おり眺めに行く・・・と云えば「小奇麗なノスタルジー譚」となってくれるのだが、ドッコイそのアパートはいまでも現役で存在するのである。さすがに今では「4畳半オンリー」の間取りでは店子も入らないのか、大幅なリフォームをして「上下4部屋ずつ」の広めの構成になっているようだが、それでも外観的にはほとんど変わらず、なんだか「生きたシーラカンスを発見した古生物学者」みたいな気分になるのである。

「昭和は遠くなりにけり」なんてことを云うけれど、ことあのアパートに関して云うならば「ぜんぜん遠くなってない」のである。

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