「愛」の叩き売り状態

昭和50年代のアニメというのは、そりゃもう「愛」のオンパレードであった。『宇宙戦艦ヤマト』の劇場版公開(52年)あたりが火付け役だったかと思うが、それまでは「悪い奴らをやっつけろ!」的なノリが大勢を占めていたSF物が、一気に「敵対する側にだってやむにやまれぬ理由があるんだ。だから分かり合って愛し合おう」みたいな感じに変わっていった。『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』とか『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』みたいな「そのものズバリのタイトル」をつけた作品も多く、正直、アニメファンはやや食傷気味であった。

ところが平成になってバブルやら不況やらを経る中で、若者たちの心には「シニシズム」みたいなものがはびこりだし、「愛なんてコトバ、口にするのも恥ずかしい」という風潮が強まった。心底では「愛」を欲していても、それをストレートに表現するのがはばかられるようになった・・・というのが正確なトコロかもしれないが、とにかく昭和期の「愛の叩き売り状態」とは対極的な状況にあるのだ。

かつては偽善的な匂いを感じ取って「愛」というコトバに否定的になってしまった僕らの世代であるが、昨今のような「乾いた状態」があまりに続くと、当時がやや懐かしくなってくる。「叩き売り」はさすがにイヤだが、「愛」というコトバを臆せず口に出せる心は取り戻したいような気が・・・。試しに今度いっちょやってみっか。

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