あなたは優しいから

荒れた生活から立ち直って作家になった人物の自伝の中に、「どれほどヒドイ状況にある時でも、母親は自分に対して『あなたは優しいから』と云い続けてくれた」というくだりがあった。そこを読んで思ったのは、「自分も似たような感じだったなァ・・・」ということだ。

僕は子どもの頃から「実生活では冷めている」クセに、どういうわけかフィクション(漫画やアニメや小説や映画やドラマ)ではメチャメチャ涙腺の弱い体質で、色んなものを観てはもらい泣きばかりしていた。あるとき、例によってアニメ(たぶん『みなしごハッチ』)で泣いていたとき、洗濯物を取り込みにきたお袋が「あんた、何泣いてるの」と訊いてきた。僕が「アニメの主人公が可哀想で・・・」と説明すると、お袋は「ふーん」という表情でこう云った。「ああ、それはアンタが優しいから泣くのよ」。

その時のことは今でもハッキリ覚えているので、かなり印象的な出来事だったのだろう。もしも「男のくせに」とか「たかだかマンガごときで」みたいなことを云う母親だったら、僕の人格はたぶん今とは全然違ったものになってただろーネ。

「ホメて伸ばす」というやり方は善し悪しだと思う僕であるが、こと「子どもの資質」については「ホメて伸ばしたほうが良いのかなァ」という気がする。少なくとも、「自分のこと以外で泣ける感性」というのは大事にして欲しいのだ。けっこう大事なモノだと思うしネ、それって。

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