変身していた過去は汚点か?

及川ミッチーが、企画されるも結局NGとなった幻の仮面ライダー「3号」を演じるという。彼は「新人時代に特撮ヒーロー物のオーディションを受けて落ちる」経験をしたそうだが、「その当時のヒーロー役」は現在の「人気俳優への登竜門」とは正反対で、「出たら俳優としての大成は見込めない」なんて陰口を叩かれるものだった。

それは決して誇張ではなく、その傾向は確かにあった。「俳優界」と「特撮俳優界」との間にはベルリンの壁より高い壁があって、乗り越えられる人間は稀だったのだ。ヒーロー役で活躍した俳優を、その後、一般ドラマの主役級で観ることは非常に難しかった。

それが変わり始めたのは『仮面ライダーブラック』の倉田てつをや、『超獣戦隊ライブマン』の西村和彦が出てきた頃からだろうか。「ヒーロー俳優ファン=子ども」という図式が、現在に通じる「ヒーロー俳優ファン=若い女性(若ママ含む)」という風に変化してきたのだ。

この背景には「特撮ヒーロー物の脱・子供だまし傾向」があった。へたな一般ドラマよりも高次元なテーマを追求する作品が増えたことで、ヒーロー物の社会的評価がアップし、「芸能事務所がイチオシの新人をオーディションに送り込むようになった」のである。

現在では「一般ドラマに出す前に、まずはヒーロー物で顔を売って、付加価値を付けておく」という流れが定着し、「実力派と呼ばれる若手の半分近くが特撮OB&OG」といっても過言ではない状況なのである。

けれども彼ら彼女らは、事務所の方針もあるのか、売れてくると大半が過去を語らなくなる。気持ちは判らなくもないが、しかし変身していた過去を「汚点」みたいにされちゃうのは悲しいなァ~。

綾野剛だけは例外的に、売れっ子となった現在でも積極的に「俳優として鍛えられたのは『仮面ライダー555』の現場」と語っているんだけど、彼はライダーじゃなくて怪人役OBなんだよネ。誰か「売れっ子になったヒーローOB」の中から綾野みたいな人間が出てきてくれることを切に願う!

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