東京脱出バナー

Uターン&Iターンで「新しい生き方」を模索するシニアを毎回フィーチャーする、テレビ朝日の『人生の楽園』(毎週土曜18:00~18:30)。
2000年のスタート以来つねに安定した人気をキープし、「地上波不振」と言われる昨今でも常時2ケタ視聴率を保っているそうです。

人生の楽園

これだけ聞くと、地方移住のニーズは「リタイア層を中心に高まっているもの」のように聞こえますが、そういうことでもないんだとか。
「都会ではない場所で、より人間らしい暮らしを求める若年層」も少なくはなく、総務省が音頭をとる「地域おこし協力隊」への応募者も多いといいます(もちろん「全てが成功しているわけではない」そうですが……)。

話をセクマイ側に移しますと、ここ最近、「脱・都会を願うLGT」の移住先として人気を集めているのが「沖縄」です。
その県庁所在地である那覇市は「性の多様性を尊重する都市」を標榜し、同性カップルを対象とした「パートナーシップ登録制度」を採用しており、それも大きな追い風となっているようです。
沖縄に「行く」とか「行きたい」とか口にするGには俺も何人か会ったことがあり、もはや一種の「ブーム」と言っても良いレベルかもしれません。
那覇市のHPによると、くだんの制度の登録資格は以下のものだそうです。

【1】互いを人生のパートナーとし、継続的に共同生活をしている、又はそうしようと約束していること。
【2】2人の戸籍上の性別が同一であること。
【3】20歳以上であること。
【4】住所につき、下記の(1)(2)(3)のいずれかに該当すること
(1)2人とも那覇市民であること。
(2)1人が那覇市民、もう1人が市内への転入を予定していること。
(3)2人とも市内への転入を予定していること。
【5】下記の(1)(2)に該当する、1対1の関係にあること
(1)配偶者がいないこと。
(2)申請者以外の者とのパートナーシップの関係がないこと。

那覇市の場合、申請時に必要な書類は「登録申請書」「住民票抄本」「戸籍抄本」「本人確認証」だけでいいんだとか。
同種の制度を日本で最初に実現させて話題となった東京・渋谷区の場合は「公正証書」というのを提出する必要があり、それを作成するには「およそ8万円の費用がかかる」そうなので、金銭的余裕のないカップルにとってはありがたい話でしょう。

とはいえ、です。
地方移住というのは人生を左右する重大事なので、「ブームにのっかって軽々に行なってイイもの」では決してありません。
たとえば「ポケモンGO」とかだったら、「これは自分には合わないな」と分かった時点でやめちゃえば済みますが、大枚はたいて移住した後で「ここは自分には合わないな」と分かってしまったら泣くに泣けないでしょ?
実際、その手の失敗をする人は少なくないらしく、他ならぬ「沖縄へ移り住みたい人々をサポートする専門サイト」が、このようなショッキングな一文を載せているのです。
「年間2万人が移住に失敗しています」
以下は、そのサイト「沖縄移住計画支援センター」からの引用です。

連日、放送される楽園をイメージさせる沖縄を取り上げた番組、暖かい気候で海の目の前でのんびり皆が暮らせるとお考えの方がいらっしゃいますが、低所得で失業率も高く県内での就職も厳しいのが現状です。
沖縄移住支援センターでは移住の専門企業としてTV・雑誌・ラジオなど楽園をうたう報道(誤解される様な内容)には参加しておりません。
移住を失敗したくないという方は“もしも”という事を常に考え移住を計画してください。
アパートは借りたが仕事が見つからないという状態では大変です。
お子さんがいらっしゃる方は学校の教育や移住先の環境もよく調べてください。

移住推進系サイトには「偽装建築物件を売りつける不動産屋」みたいなトコもあるので、どこのものであっても話半分に聞いたほうが賢明でしょう。
良心的なところというのは「マイナスのポイント」というのもキチンと開示しているものなのです。
「沖縄移住計画支援センター」には「沖縄移住の失敗理由と失敗事例」「沖縄移住失敗BBS」等のコンテンツがあってなかなか興味深いので、沖縄移住を「ボンヤリと」夢想しているLGTは一度閲覧するといいかもしれません。

移住先を選ぶ際、最も重視すべき点は「自身の気質」と「住もうとしている場所の土地柄」の相性だと、個人的には思います。
他の人にとっては「楽園」でも、自分にとっては「地獄」……みたいなケースって割と多かったりするんですよ。
たとえば俺の場合だと、沖縄はおそらく「合わない」と思います。
沖縄には「テーゲー」という独特の概念? 主義? 体質? があって、その象徴的なものが「ウチナータイム」と呼ばれる時間感覚です。
ザックリ言うなら「5時に待ち合わせしたら5時に家を出る」みたいなもので、「どうせ定刻に行ったって誰も来てないんだから遅れたっていいさー」という感じなんだとか。

これは、静岡人である俺には絶対合わない!
静岡人は「全国でも屈指のノンビリ県民」ではありますが、時間についてはかなりキッチリしていて、5時に待ち合わせしたら4時55分には現地に着くよう心がけます。
それは、日本人の特徴である「生真面目さ」が強い人種だからです。
じつは静岡人は昔から「平均的日本人」と言われ続けており、県内ではよく「新製品の試験販売」が行なわれてきました。
「最も日本人らしい静岡人にウケるものなら、他の地域でもウケるはず」とされているからです。

面白いのは「テレビ視聴率」で、静岡地区のそれは「全国平均よりも総じて5%くらい高い」といいます。
最近の例で言えば、2016年トップの人気ドラマ『ドクターX』の初回視聴率が関東地区で「20.4%」だった際、静岡地区では驚異の「29.6%」をマークしたそうです。
要するに、他地域ではすでに失われつつある「地上波テレビの視聴習慣」が、静岡ではまだまだ生きているというわけですね。
これもまた、静岡人の「THE日本人性」を表わすエピソードと言えるでしょう。
そんな地域で人間性を育んだヤツが、ウチナータイムなんかに馴染める道理がない!
おそらくは「ちゃんとしろよ!」と説教するでしょうが、アチラでは「たかだか遅刻ごときに腹を立てるヤツ=野暮なヤツ」になるそうです。ウキ~~~~ッッ!!!

そういえばこないだ、沖縄を「ちぇるちぇるランド」と読んではばからないウチナーンチュ男子・りゅうちぇるが、日本で唯一「パタリロを生身で違和感なく演じられる」静岡男子・加藤諒(じつは竜超と同じ高校出身)とルームシェアをする、という番組がフジテレビで放送されましたが、あれはすごかった~!
世間一般から常日頃「ついてけない」と言われがちな加藤諒が、様々な場面で「ついてけない」という表情を浮かべるのです。
俺はかねがね「良くも悪くも沖縄は外国だ」と思ってるんですが、加藤諒がいかに「変わり者」であっても、それはしょせん「国内レベルの変わり者」に過ぎません。
ましてや彼は「日本人OF日本人」である静岡人のDNAを体内に秘めているわけですから、りゅうちぇるみたいな「海外級の変わり者」と戦って勝てるわけがない。

アクの強さでは芸能界でも上位にランクされる加藤諒ですらそうなんだから、はるかに小市民的な俺が、なんで沖縄人に太刀打ちなんてできようものか。
もしもアチラに移住なんてしようものなら、日々「ついてけない」の連続で心を病んでしまいかねませんわ。
もっともGの間にはウチナータイムに極めて近い「オカマタイム」というのがあって、「ソコソコの遅刻は愛嬌の部類よ」と口にする御仁もおられますので、あるいはそういうタイプならば沖縄にマッチできるかもしれませんな!?

……などと軽口はサテオキ。
「こないだ旅行で行って親切にされたからあそこに住もう」と安直に考える人もいますが、それも「安易にブームにのっかる」のと同じくらい危険なことです。
旅行者というのは「いっときだけ滞在して一方的にお金を落としてくれる存在」だからどこでも大歓迎されますが、移住者は「税金を使っての行政サービスを受ける存在」で、かつ「仕事をぶんどっていく」ことになるので、沖縄のように「税収が少なく失業率の高い県」とかだと地元民から疎まれる可能性がある。
もしもあなたが「高額納税者で働き口まで持ってきてくれる企業家」だとか、「働かなくても食っていける富裕シニア」とかならば話は別ですが、あまりフトコロ具合がよろしくないなら「できるだけ栄えてる地方」を探したほうが無難でしょう。

というわけで。
ミナサマ、「無責任なブーム(風評)」や「何となくのイメージ」に踊らされることなく、移住先はシビアな視点に立って厳選しましょう。
いっときの感情に任せて行動すると、「人生の楽園」は遠ざかってしまいますぜ!?

422cover

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