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俺が『暮しの手帖』の初代編集長・花森安治をリスペクトしていることは、親交のある人ならば良く知っていることです。
普段はNHKの朝ドラは観ないんですが、「暮しの手帖をモチーフにしている」という一点だけで、『とと姉ちゃん』を例外的に観たくらい。

ドラマの中で、「戦争で住居を失った人の仮住まいを快適に作り替える(昨今で言うところの「リノベーション」ですね)」というエピソードが登場しましたが、そのアイデアを1冊にまとめた「美しい暮らしの手帖(『暮らしの手帖』の前身)別冊」が、1950(昭和25)年発行の『すまいの手帖』です。

じつはそれを先日、同年発行のもうひとつの別冊『美しい部屋の手帖』と一緒に手頃な価格で入手できましてね、初めてじっくり読み込むことができたという次第であります。

手帖

2冊を読んだ感想は「いや~、ここまで懇切丁寧だとは!」です。
中でも『すまいの手帖』は、きわめてシビアで現実的な視点で編まれているにもかかわらず、読者の「自分の家を建てる」というロマンを萎えさせないためのアイデアが満載なんです。

「いくらあれば家が建つか」「どんな土地を選ぶか」「どんな家を建てるか」といった心得部分から、「設計書、建築届、見積書、契約書の作成法」といった実務テク、「いよいよ建ちはじめたら」「やっと家は建ったけれど」等々の施主サポートが載っているんですけど、これはもう「生活雑誌」の域を超えている気が。
更には「自分で作れる便利な組み合わせ家具」といったDIY資料もあって、今さらながら花森氏の「読者本位の姿勢」に恐れ入ってしまいます。

俺にとって最も有難いのは、「想定する最低坪数が4坪(13・2平米)から」という点。
発行当時はまだ日本に物資が不足しており、また『暮しの手帖』の読者である「庶民」はそもそも潤沢な費用を使えなかったので当然といやぁ当然ですが、「ミニマム(最小限)な家でこじんまりと暮らしたい」と願う俺にはまさにもってこいのプラン集なわけです(下の家はたった「四畳半一間」ですが、テラスまで付いていて優雅で「ミジメったらしさ」なんて皆無!)。

4坪

もちろん現在では建材の価格や工賃の相場が全然違いますので、そこは換算が必要となりますが、しかし今も昔も「家を建てる際の心得」というのは変わっていないはずなので、参考にすべきことは多い一冊です。
俺は運よく古書をゲットできたけど、どちらもなかなか希少な品のようなので、ぜひ復刻して、多くの人に読んでほしいなぁ。

もう片方の『美しい部屋の手帖』もまた室内のインテリアや家具の配置、空間の使い方などを、分かりやすいイラストや間取り図を駆使して提案しています。
しかも、どれも70年近くも前とは思えないモダンなセンス!
移住後は『すまいの手帖』でこじんまりとした家を建て、『美しい部屋の手帖』で内装や家具調度品について考える…なんてふうにしたら、なかなか潤いのある暮しができそうだなぁ。

422cover

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