東京脱出バナー

ミニマル(=必要最低限)な暮らしを送るうえで重要なスキルが「シェア能力」です。
戦後の高度経済成長期を迎えたあたりから、日本人はそれまで周囲と共有していた様々なものを「個人所有物」へと切り替えていきました。
でも、それが必ずしも良いことだったかと言えば、「はい!」と即答はしがたいのが現実です。
「一戸に一個なくても構わない家財」などは複数戸でシェアして使ったほうが、所有の手間も費用も置き場所も節約できていいでしょ?

俺も、18歳から4年間暮らした杉並区荻窪の四畳半時代には、ソレナリのシェア能力は持っていました。
ケータイはまだなく(正確に言えば、大金持ちしか使えない「自動車電話」はすでにあったが)、「固定電話を持つこと」が多くの若者の夢だった当時、アパートには備え付けの共有ピンク電話が1台あって、かかってくると住人の誰かが受けて、「××さーん、電話ですよー」と呼び出しに行っていた。
病的な人見知り野郎である俺であっても、当たり前にそれをやってました。

でも、今おなじことができるかと言えば、たぶん「NO」です。
いや、これは俺だけの話じゃなく、少なからぬ人間が「いやいやいや、無理無理無理無理」と言うでしょう。
「鉄筋入りの厚い壁」と「スチール製の重たいドア」に守られながら、隣近所に対して生活を「閉じて」しまっている現代人の多くは、知らず知らずのうちにシェア能力を失っているのです。

この事実にはたと気づいて愕然としたのも、東京脱出を思い立った動機のひとつでした。
「やっべぇ! このまま行ったらただでさえ乏しい『周囲と関わるチカラ』が完全に枯渇してしまう」
こんな恐怖にかられたわけです。

とはいえ、「一度身についた技能はなんだかんだ言っても残っているもんだ」という意見もあります。
もう何年も泳いでいないとか、自転車に乗っていないような人であっても、しばらく練習すれば昔の勘を取り戻せるのだよ、と……。
それは確かに一理あることで、まだ昔の勘がいくらか残っているうちに生活をリセットできれば、かなり挽回できる気がするのです。

そんなわけで、とりあえず自分の意識を「所有」から「共有」へと方向転換させていくことを目指していきます。
まだ間に合うかな~?
いや、どうにかして間に合わせなくては!

422cover

『薔薇族』最新号(No.422)2017年1月21日発売!
お求めはこちらから

電子書籍版(PDF形式)422号も2017年1月21日発売!
お求めはこちらのサイトから

年間定期購読もよろしくお願いします
お申し込みはこちらから

毎週末「読者茶論」をオープン中
詳細情報はこちらから

都内の『薔薇族』委託店・新宿二丁目/新宿御苑すぐ前「模索舎」
MAPはこちら