東京脱出バナー

近年、労働問題の現場で耳にする言葉に「ヤリガイ搾取」というのがあります。
人間(主として若者)の「ヤリガイが感じられる仕事なら、ちょっとくらい条件が悪くたって頑張る!」という情熱を悪用し、労働力を不当に得ている悪徳企業のことを非難するものです。
「搾取」というやり方は確かに問題アリだとは思いますけれども、しかし「ヤリガイを糧にムリすること」も人生(特に若い時分)にはある程度必要な気がします。

「駆け出し時代に薄給でこき使われた」として所属事務所をディスった俳優(あ、もう「元・俳優」なんでしたっけ?)もいましたが、そこに違和感を感じる人は少なくなかった気がします。
ギャラのランクが低く、事務所から「投資される」時期→薄給
ギャラのランクが上がり、事務所へ「還元できる」時期→高給
これは資本主義の原則から言ってもフツーのことで、「売れたのに薄給のまま」とかでない限り、なんらブラックな要素はない気がします。

同じ俳優でも、たとえば小劇団の役者の場合とかだともっとシビアで、「薄給しかもらえない」どころか「劇団維持費を役者が上納する」のが通常です。
公演が始まれば、それに加えて「チケット販売ノルマを課せられる」わけで、劇団員はいっそうピーピー状態に陥ってしまう。
でも、これを「ヤリガイ搾取」と非難する人はいないし、そう感じるような人はそもそも小劇団活動なんてしないでしょう。

「いや、企業と劇団とでは話が違う!」という反論もありましょうが、いやいや仕事(営利活動)だって「やりがいを糧にムリすること」もある程度はアリでしょう。
「徹頭徹尾、金のことしか考えないで、損得勘定だけで働いてます!」みたいな人生は空しすぎるし、そもそもそれでは労働意欲なんて湧いてくる道理はない。
また、そんな心の冷え切った銭ゲバ野郎とは付き合いたくないよね。
基本的にナマケモノな俺だって、さすがにいくらかは「損得勘定抜きで頑張る」ことはやってますワ。

「ヤリガイを糧に頑張ること」と「ヤリガイを搾取されること」の見極めというのはけっこう難しく、両者は不可分とまでは言いませんが、境界線はかなりアヤフヤだったりする。
じゃぁ、どうすればいいのかといえば、これは「自分で決める」しかありません。
「いくらヤリガイが感じられると言っても、さすかにこれでは身がもたないよ」と感じたら止めればいいし、「頑張っていると飯が上手いし、体の調子もいいよ」というなら続ければいい(ただし、生活が成り立たないほど経済的に追い詰められてしまったら続けない方がよろしいでしょう)。
あくまで基本は自己判断で、他人からの助言はサブ的なものにしときましょう。
助言だけで決めてしまったら、後で絶対後悔するだろうから。

俺もいま、脱東京計画の生活ユニットメンバーを募集してますが、せいぜい「ヤリガイ搾取をしてる」とか言われないように気を付けますワ。

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