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BSの再放送で昭和ドラマを観ていると、「あの頃に戻りたいなぁ・・・」と思わされることがしばしば。
これは昭和期にどっぷり浸ったジジババ世代だけの感想ではなく、昭和なんか全然知らないはずの世代までも似たようなことを言ってたりします。
「昔は良かったなぁ・・・」は「・・・ったく最近の若いモンは」と並ぶ、「不毛な思い」の二大巨頭と言われていますが、それでもやっぱり思ってしまう。
「昔は良かったなぁ・・・」
これは単なる「ノスタルジーに惑わされた根拠のないディスり」ではないです。

昭和期の「今より優れている点」として挙げられるのが「暮らしの知恵の多さ」ですね。
「強引に白黒つけようとしない」
「自分を正義と思わない」
この二点が暮らしの知恵の最たるもので、これらが失われたから今の時代は「壮大な泥仕合」が頻発するんです。
「とにかく白黒つけないといけない」と思い込んでいると、最終的には「殺すか、殺されるか」に行き着きかねない。
「正義と正義の戦い」というのも同様です。
「ほどほどのところで着地点を見つける」というのは知恵のある人でないとできないし、それができていないということは「知恵のある人がいない」ってことなんでしょう。

向田邦子が原案・脚本を担当したホームドラマの金字塔『寺内貫太郎一家』では、若い世代だけでは収拾がつかなくなった時には、かならずジジババ世代が割って入って収めてくれます。
険悪な空気になると、悠木千帆(現・樹木希林)演ずる「きん婆さん」が薄ら笑いを浮かべながら仲裁に入り、緊張感を中和する。

「そういえば核家族が社会の標準になる前は、家を仕切ってる年寄りが家庭内にいて、いざって時にはビシッと締めてたなぁ」と俺なんかは思います。
我が家の場合も婆ちゃんで、俺が幼稚園の頃、朝食時に両親が「子どもの眼前での夫婦喧嘩」をしたことがあったんですけど、それが最初で最後。
たぶん婆ちゃんに「子どもの前でみっともないことをするな」とこっぴどく叱られたんだと思いますが、以来、一度としてその類のことはありませんでした(裏ではやってたでしょうけど)。

今のゴタゴタも、そうした「昭和の知恵」を稼働させればかなりに部分解決すると思うんですけど、残念ながら「昭和=野蛮な時代」という価値づけが定着してるもんだから上手くいかない。
貫太郎一家が若い世代の支持を一定数とりつけたことからも、昭和の知恵を欲してる平成世代が少なくないことはわかると思うんだけどなぁ~。

ちなみに『寺内貫太郎一家』は向田さんの観察眼や表現力もスゴイですが、きん婆さんを演じきった希林さんの演技も鬼気迫るすごさだった。
まだ31歳(!)の若さで「70歳の老婆」(今の70歳とは違いますよ)を違和感なく演じるなんて、良い意味で「どーかしてる」ってモンですわ。
いや、観てるとね、頭では「このヒトはまだ31歳なんだ」とわかってるのに、その事実が素直に腹に落ちてくんないのよ。
「頭ではわかってるけど、頭以外がその納得を拒んでる」って感じで、「すげぇ演技」ってのはそういうものかもしれませんな。

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