ムダの利

この春、ケータイ電話をスマホに買い替えて以降、一番よく使っているのが「地図ナビゲーション機能」である。ウォーキング中、どこを歩いているのかイマイチ分からなくなったときにコレを使うと自分の現在位置がすぐ判明し、目的地にすばやく到着することができる。

こいつはきわめて便利な機能で、知らない街をムダにウロウロすることは実質なくなったわけではあるが、だから「もろ手を挙げてバンザーイ」状態であるかといえば、ちょっと違う。地図ナビがなかった当時は、確かに遠回りすることも多かったが、「その過程で偶然出会った面白いスポット」というのが結構あったのだ。

現代人は総じてセカセカしているせいか「効率性」ばかりを偏重し、「非効率」というのを極端に嫌う傾向が強い気がする。そうした気質は僕の中にもないわけではないが、しかし一般平均よりは低いのではないかと思っている。「だからこそ手にできたものが色々ある」とも・・・。

「非効率の代償として得られた面白ネタ」のことを、僕は「ムダの利」と呼んでいる。通俗モノカキとしての僕は、まさにそれの積み重ねによって生まれたといえる。『薔薇族』にしたって、僕が「赤字」という非効率状態を面白がれるから継続できているのである。もしも効率性(黒字)にしか関心を示さない性格だったら、とっくの昔に投げ出しているだろう。

物理的な損はしないが面白みに欠ける「効率的人生」と、ムダは多いが意外性があって退屈しない「非効率生活」、どっちを選ぶかは各人の自由であるが、僕の場合は前者を好むようになってしまったら竜超ではなくなってしまう。これからはあまり地図ナビを使わず、2回に1回くらいは迷いながら歩かないといけませんナ。

毎週末「読者茶論」をオープン中
詳細情報はこちらから

『薔薇族』最新407号発売中
お求めはこちらから

年間定期購読もよろしくお願いします
お申し込みはこちらから