無いものを創る。でないと人生の浪費だ。

定期購読者の方々はご存知のことだが、現在の『薔薇族』にはエロ系のコンテンツはいっさい載っていない。載せていない。といっても別に「スケベを毛嫌いしている」とかいうわけではなく、ただ単に「シモネタだったら世間(とりわけWeb上)にいくらでもあるから」というだけの話に過ぎないのである。

このあいだ『季刊レポ』の発送手伝いにうかがい、ウラ物ライターの大御所・下関マグロ氏と久々にお会いした際にも話したのだが、2000年代初頭、インターネット環境を整えてHPというやつを初めて開設するとき、僕がコンテンツとして選択したのは「ハイパーエロ」、それもただのエロではなく「フェチ」と「ビザール」であった。

今でこそフェチ物を扱うゲイAVメーカーも珍しくはないが、当時はほとんど無いような状況であった。ノンケ側ではSODの「アホらしAV」(全裸シリーズとか)が評判を呼んだりして、スケベシーンかなり盛り上がっていたにもかかわらず、である。そのことを物足りなく思っていた僕は、マグロ氏が当時さまざまな雑誌媒体でやっていたような「体当たり取材」を手本にしてやってみた。すると想像以上の反響があって、商業誌からの取材が来たりするようにもなったのである。

いまやゲイAVにもしばしば登場するWAM(=Wet&Messy=濡らしと汚し)というのは、その頃にマグロ氏が複数のメディアで推奨していたフェチジャンルであったが、それをコッチ側に広めたのは僕であると自負している。他にも、「ノンケ側で流行っていてゲイ側にはないエロ」があれば片っぱしから紹介していき、ゲイエロ界にはそれなりの貢献が出来たのではないか、と思うのである。

そうした活動は、2005年に復刊版『薔薇族』のスーパーバイザーをやる頃にはすでに辞めていた。「かなりの部分をやり尽くして飽きた」というのもあるが、「同種のことを既存のAVメーカーとかがやるようになったから」といった部分も大きい。人生は短いンだから、他人がやっているのと同じことをダブってやるなんて時間の無駄だと思うのである。せっかく与えられている命の時間は、他人がやっていないことに使わなくてはモッタイナイじゃないか。

現在の『薔薇族』は生活誌・サブカル誌・オピニオン誌といった方向性の造りをしているが、これだってあくまでも「暫定的なスタイル」にすぎない。もしも同じことをやり出すメディアが他に出てきたら、きっとさっさとやめて全然ちがうことを始めるだろうと思う。いや大丈夫、「まだやっていないこと」も「これからやってみたいこと」も山ほどあるので、作る僕も、それを楽しむあなたも、たぶん死ぬまで退屈はしませんので。

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