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竜超による『薔薇族』の歴史

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第一期薔薇族

『薔薇族』は、日本で初めての〈商業ゲイマガジン〉です。ゲイ関連書籍を出版をしていくなかで、当時の同性愛者たちの深い孤独を知った初代編集長・伊藤文学が、その解消をめざして1971年7月に創刊させました。発売されるや、おのれに関する情報や仲間との出会いの機会に飢えていたゲイたちが続々と読者になり、発行部数はどんどん伸びていったのです。
その後も経営は順調で、発行元である〈第二書房〉は、本邦初の「男性ヌード写真集」「ゲイポルノ映画」「ゲイAV」「ゲイ向け喫茶」などを次々と手がけ、日本における〈同性愛ビジネスのリーディング企業〉となっていきました。
「ゲイマガジンの代名詞」として広く世に知られるようになった『薔薇族』でしたが、編集部内の世代交代がうまく進まなかった(雑誌の新陳代謝ができにくかった)せいで若い世代の感覚がじょじょに捉えられなくなり、いつしか〈時代遅れのロートル誌〉の汚名をきせられてしまいました。
さらに、インターネットが普及するにつれて、ゲイマガジンに「オナニーのネタ」と「出逢い機能」しか求めていなかったシヴィアな読者たちが離れていき、ますますジリ貧状態に……。
そして2004年の秋、ついに33年の長い歴史にピリオドを打つことになったのです。印刷所への借金がかさんでいたせいで、休刊の挨拶をのせた最終号を刷ることもできず、なんとも不本意かつ唐突すぎる状態でのお別れでした。

第二期薔薇族

話がやや前後しますが、『薔薇族』が休刊となる直前、私のところへ一通のメールが届きました。差出人の名は「伊藤文学」。私がホームページに載せていたコラムを、自分の連載で紹介してもいいか、という問合せでした。
それをきっかけに交流を持つようになった私に、あるとき、文学氏がきりだしました。
「今度、〈メディアソフト〉という出版社から『薔薇族』を復刊させることになったんだけど、君、それを手伝ってくれないか」と――。
小五で初めて立ち読みして以来、ずっと一読者でしかなかった自分が、歴史ある『薔薇族』に図々しく手を出したりなどしていいものか……という迷いもありましたが、けっきょくは「やってみたい!」という想いが勝ち、「文学氏の代理人」的な立場で、復刊版の編集に携わることになったのです。
2005年4月、ついに〈復刊薔薇族〉は発売となりました。復刊一号の目玉企画は「美輪明宏インタビュー」。さらにレギュラー執筆者として、「唐沢俊一」「内田春菊」「中村うさぎ」といったメジャーな書き手に順次加わってもらうことで、雑誌としてのステイタスを上げていきました。
こうした方向性は、「インターネットの台頭によって衰退が進む『ゲイマガジン』をいまさら作ったところで勝機はないので、『ゲイをテーマにしたサブカル誌』へとリニューアルするべきだ」という私の主張によるものでしたが、しかしメディアソフトの上層部は「王道的なゲイマガジンを作りたい」といった気持ちが強く、両者の思惑の狭間で雑誌は迷走を続けました。
当初こそサブカル寄りだった誌面は、号を追うごとに「どこかで見たような構成」になってゆき……結果、せっかくの復刊版は、わずか8号でピリオドを打ってしまったのです。

第三期薔薇族

文学氏はその後、スポンサーになりたいと申し出てきたIT企業と組み、同年代のスタッフ(ふたり合わせてなんと150歳!)と二人三脚で〈第三期薔薇族〉の1号目を発刊しましたが、やはり売れ行きはかんばしくなく、大きな赤字を出してしまいました。
そのうえ、「2号目用の原稿一式を持ったまま、スポンサーが夜逃げする」「たまりにたまった借金のカタとして、住み慣れた自宅を取り上げられてしまう」といった不幸もかさなり、「さすがの伊藤文学氏もこれまでか!?」と見る者も多かったそうです。
それでも文学氏はあきらめませんでした。再び私と組み、「他人のフトコロ事情に左右されることのない自力出版」という形で〈第四期薔薇族〉を新たに起ち上げたのです。

第四期薔薇族

第四期版の『薔薇族』は、コンテンツ面が最も充実していた〈昭和期の号〉にスポットを当てる構成にしました。ランダムに選んだ1年間にあった出来事を1号すべてを使って掘り下げ、当時の記事の再録や解説・検証をしていくのです。
これをやりきれれば、昭和版『薔薇族』の全歴史(=昭和期の日本ゲイ史)を網羅した貴重な資料集が完成するはずでした。ところが7号目(№398)の編集作業中に、文学氏から思いもかけない申し入れがあったのです。
それは、「もう自分も80歳近くなってしまったし、出しても思ったように売れないせいで費用の捻出も難しくなったので、キリのいい400号で終わりにしたい」というものでした。
その決断を私も受け入れ、不死鳥のごとく復活を繰り返してきた『薔薇族』も、ついに400号で完結することとなったのでした。

第五期薔薇族

〈完結直前号〉となる399号が出たのが2009年の1月。しかしその後、1年経っても2年経っても400号が出ることはありませんでした。私が何度、「そろそろ出しませんか」と打診しても、文学氏は「う~ん……まだ、いいンじゃないかなァ……」を繰り返すばかりだったのです。
たぶん「400号でやめる」と自分で決めたものの、『薔薇族』に対する執着はやはり捨て難かったのだろうと思います。また、私のほうでも「同性愛者を取り巻く問題は悪化する一方だというのに、『薔薇族』をなくしてしまっていいものだろうか……」という想いがつのっていたのです。
そこで、1971年の創刊から満40周年となる2011年、「私に『薔薇族』を継がせてください!」とお願いしてみたところ、文学氏はそれを快諾してくれ、はれて私は〈二代目編集長〉を襲名することとなりました。
〈二代目襲名〉が正式に決まったのは5月でしたが、記念すべき竜超版『薔薇族』の第一号を、私はどうしても創刊月である「7月」に出したかった! そこで突貫工事で編集作業を行ない、ついに創刊号の発売日と同じ「7月21日」に、記念すべき400号を世に出すことができたのです。

コルネ薔薇族

当初は〈終刊号〉となるはずだった「№400」が〈新生号〉となったのも奇しき因縁なのですが、ひょんなきっかけで出逢ったイラストレイター&デザイナーの猪口コルネくんが、401号からアート・ディレクションを担当してくれることになったのも、また、運命の不思議というのを感じさせます。
他にも、毎号ステキなカットを描いてくださる漫画家のソルボンヌK子先生をはじめとするサポーターの皆様方に支えられながら、竜超編集長体制による第五期『薔薇族』は今後も様々な提言を行なっていくのです。

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